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仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

加藤直人著「メタバース さよならアトムの時代」

 本書はtwitterで知った。多くの人がメタバースのことを学ぶのにとても分かり易かったと紹介しており、自分もそのうち読みたいなとずっと思っていた。今回はようやく読めたので、本書「メタバース さよならアトムの時代」を紹介する。

 本書の著者加藤直人さんは、クラスター株式会社という会社を経営されている方だ。クラスター株式会社は、メタバースプラットフォームの提供を行う会社であり、まさしくメタバースに関連する会社だ。そういう意味で著者は、メタバースを解説するのにふさわしい一人であるのだろう。メタバースを解説するにあたって、本書では様々な角度から解説がなされている。そもそもメタバースってなんなの、というところから、どういう歴史的背景があるか、メタバースをつくる代表的な会社や個人としてどういう人たちがいるか、メタバースはどのような要素から構成されるか、そしてメタバースが生み出す新しい経済圏にはどのような可能性があるか、などなど。少し硬く感じる章もあったが、全体的にとても読みやすかった。

 個人的にはメタバースFF14はどう違うか、という疑問に答える章があって良かった。メタバースという言葉を聞くたびにFF14とどう違い、どう新しいものを思い描いているのだろうか、ということは感じていたが、自己組織化という言葉をキーワードに著者はその違いを説明していく。このあたりはそれが正しいかどうかというよりも、メタバースに可能性を感じる人たちはメタバースという言葉をどう捉えているかを学ぶために参考になる部分だと感じた。また、FF14メタバースが完全に異なるものというよりは、FF14メタバース的になることは全然ありうるのではとも思った。

 本書の中でも新しい文化の担い手が若者であることを感じるが、そういったものをまさに知識として本で学んでいる自分はもはや悲しいことにおじさんであり、ほおっておくと全く時代遅れになってしまう可能性があるな、とも感じた。メタバースって全然わかんないよなーという、自分と同じような感覚の人は、手遅れになる前に本書を読んで新しい世界の感触を学んでみるといいと思う。