おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

レオ・バボータ著、有田春翻訳「減らす技術」

 ビジネス書レビューを行う自分にとって、生産性に関する本というのは、どれも似たり寄ったりになってくる。様々なハックが紹介されていても、どこかで読んだなあという印象を拭えない。しかし、本書は多くの生産性の向上を語る本の中で、少し変わった、しかしとても大切なことを語ってくれる本だった。

 本書の要諦は、ともかく、やるべきことを厳選する、というところだ。生産性というと、日々忙しい中で、どのように効率的に仕事を片付けていくか、どのように仕事を回していくか、などのように語られることが多い。時短の術を様々に語り、1日の間にどれだけ多くのことをこなせるようになるか、ということを重要視している本も多い。本書はそれとは逆をいく。日々のタスクをとにかく絞り、これだけやったら今日は大満足だ、というようなタスクをまず考えるが何より重要だという。こう書いてみると、なんだ当たり前じゃないか、と感じる人もいるかも知れない。だが、本当にそれを実践できている人はどれだけいるだろうか?また、タスクの絞り込みを本当に正しくできているだろうか?思うに、タスクを絞るために優先順位を考えるということは、自身の人生観を見つめ直すことでもあると思う。家庭か仕事か、それとも趣味か。忙しい日々、様々な役割をこなす必要のある中で、自身にとって本当に重要なことは何なのか。そういったことを日々整理し、自身の強い自覚を持った暮らしというのは、とても重要であるはずだが、意外と忘れがちだと思う。そういったことに少なくとも本書を読んでいる間は、想いを馳せることができると思う。

 日々、忙しくしているのに、何だか充実感がないな、と感じる人には是非読んだ欲しい本だと思う。