おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

ボーク重子著「パッションの見つけ方」

 全米最優秀女子高生コンテストで優勝した娘さんを育てた教育方法とは、というテーマで著者が数年前に複数のテレビ番組に出演されているのを見た記憶があった。そのときも「パッション」という言葉をキーワードにして、自身の教育方法を語られていた。本書をたまたま発見し、改めて「パッション」や教育というものについてどういう考えを持っているのか、学んでみるのも面白そうだと思い、本書を手に取った。

 本書では、①パッションとは何か、②パッションは子供の教育にどのような影響を与えるか、③子供だけでなくお母さんにも必要、④パッションを仕事にするべきだろうか、⑤定年後こそパッションが必要、という5個のメインテーマに沿って話が展開されている。どのパートも学びになるところがあったが、個人的に興味深かったのは、①パッションとは何か、という部分だった。

 パッションというと、とてもぎらぎらしているもののように感じる人もいるかも知れない。あるいは、ある種躁状態のような気分の人を思い浮かべる人もいるかも知れない。自分も以前テレビ番組で著者がパッションについて語っていた時は、パッションをそういうようなものと捉えて著者が語っているのだと思っていた。しかし、そういうものだけでなく、ある種「静かなパッション」というものもパッションにはあるのだという。

 また、パッションというのは、ひとつ何かに向かうパッションがあれば、例えば他のことで嫌なことがあっても頑張れるようになる、などのように、直接パッションが向かう先以外のことに関しても影響があるものだそうだ。また、パッションにはレベルがあり、ちょっとした好きとか、気になる、というパッションのタネ、というようなものを、大きなパッションになるよう、パッションを育てる、という側面もあるそうだ。

 自分自身のパッションを仕事にできると幸福なのか、あるいはパッションでないことを仕事にしていると幸福ではないのか。この辺りの疑問に対する著者の答えも面白かった。よくある自己啓発書だと、パッションを仕事にした方が良いですよ、といって終わりそうな気がするが、著者は必ずしもそうではないという。自分自身のパッションを今現在自覚している人、そうではない人、どちらにも何かしら参考になることがある本だと思った。

パッションの意味合い
パッションは育てるもの
母こそ必要
子供のためも色々な方法がある
必ずしも仕事にするのがベストではない

ただ個人的には、仕事というのは個人のパッションの有無だけで語られるほど浅いものではないのではという気持ちもした。はじめは嫌々やっていても、どこかでその仕事の面白さに気づき、そこからパッションが生まれてくるということもあるのではなかろうか。