おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

坂野俊哉、磯貝友紀著「SXの時代」

 去年くらいからだろうか、テレビやラジオなどのマスメディアでSDGs (Sustainable Development Goal) という言葉が盛んに使われるようになったのは。ニュース番組だけでなくバラエティー番組でも、芸能人がSDGsという言葉を使うのを観るようになってきている。恥ずかしながらSDGsという言葉を自分が聞いたのは、そういう流れが出来てきてからでめちゃくちゃ遅かった。SDGsという言葉自体は、実際は2015年ごろからある言葉なので、そういったところへの意識がかなり低かったといえるだろう。

 本書「SXの時代」は、自分と同じようにサステイナビリティーへの意識が低かった人への良い入門書といえるだろう。例えば、SDGsという言葉もそうだが、その他のCSV (Creating Shared Value)、ESGs (Environment, Social, Governance)、CSR (Corporate Social Responsibility) などの言葉も説明できるだろうか?サステイナビリティーといったときに、いわゆるCO2削減目標以外の項目について語れるだろうか?本書はそういった基本的な事柄の解説や、なぜ企業活動でサステイナビリティーが重要なのかということを大変分かりやすく解説してくれる。

 色々な角度から企業活動とサステイナビリティーについて解説されているが、そもそもなぜサステイナビリティーが企業活動にとって重要なのか、というところの解説がわかりやすくていいなと感じた。「親亀こけたら子亀、孫亀みなこけた」などのキャッチーな表現を交えながら語られていて、とても読みやすかった。サステイナビリティーは、単に企業のイメージアップに活かせることの出来るものですよ、ということでなく、これからの時代に企業活動を継続していく上で、どの企業も必ず考えておかねばならない必須の経営課題として、捉えるべきことだという。思っている以上に切実で真剣な問題として取り組むべき、というのが本書を読むと分かると思う。