おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

横山信弘著「絶対達成マインドのつくり方」

 ザ・自己啓発本、というようなタイトルの本書であるが、読んでみると意外とためになることがあった。一時期、成功する人に共通する性質として、グリット(やりぬく力)を取り上げた本が流行ったが、それに通ずる本だと思う。自分を変えようと思って一念発起しても、三日坊主になってしまったり、なんだかんだ理由をつけて、それらを達成できなかった、というような経験のある人には、有益な本だろう。

 本書は自己啓発セミナーの講師を勤める著者が、どのような考え方を持つことで、目標を絶対達成できる人になるか、ということを綴った本だ。人によって様々に読めると思うが、自分が学びになったなと感じたのは、以下の部分だった。

  1. 目標達成にモチベーションは必要ない
  2. 難しい目標に愚痴るのではなく、目標達成のためにどれだけ考えたかが大事
  3. 「大丈夫、そのうち当たり前になっている」などと、定めた目標にいきなり完璧に立ち向かえなくても、自分を認めていく姿勢が何より大事

 目標を達成するというと、高いモチベーションを持つ、ということを考えがちだが、著者はそうではなくて、その目標を達成している状態をいかに当たり前と思えるか、が重要だという。そして、まず目標を達成すると決めた上で、どのようにやっていけば良いかを考えていくことが重要だという。

 自分の経験を振り返っても、高い目標であればあるほど、モチベーションだけでやっていくのは難しいように思う。モチベーションを高める努力をして、はじめは高いモチベーションを持てても、時間とともにモチベーションは減衰してしまう。そして、ああだこうだと色々考え始め、そのうちに目標から離れていってしまう。著者がいうように、モチベーションに悩むのは、思考のノイズであって、目標達成の本質ではないのだ。考えるべきは目標達成の手段であって、モチベーションの維持にコストをかけるべきではないのだ。何か目標を立ててそれを達成したいと思うなら、本書を定期的に読んで、自分の向かっている先をメンテナンスするのは有益なように思う。

 なお、本書の副題に、科学的に自信をつける4つのステップ、と書かれているが、著者の言っていることが科学的にも正しいのかは、本書を読んだだけではわからなかった。そういう説もある、ということは分かったが、それが正しいのか、異論はないのか、というところは、吟味する必要があるのかなと感じた。しかしこれは野暮なのかもしれない。