おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

鬼頭孝幸編著、山邉圭介著「マンガでやさしくわかる事業戦略」

 ちょっと難しめの内容について、マンガを交えながら説明する本というのが、最近とても流行っているように思う。本書もそういった趣向の本で、扱っている内容はずばり、「事業戦略」だ。

 本書では、主人公の松井和美が、実家の和菓子メーカーで経営企画室に配属され、業績回復のため事業戦略立案を行う、という架空の設定をもとに話が進んでいく。これまで事業戦略立案など行ったことがなかった松井ではあったが、過去に経営コンサルタントを行なっていたこともある前職の先輩、竹田孝介の指南のもと、経営戦略を作り上げていく。当初はこてんぱんにやられてしまうような隙だらけの事業戦略であったが、竹田の助言により、最終的には周囲の人に支持されるような変革案を提出するに至る。

 この過程でSWOT分析をはじめとした、事業戦略を論理的に作成していくためのフレームワークがいくつも紹介されている。ただ、なんというか、そういった部分の話は、はじめこそマンガで紹介されているが、詳しい内容の説明はマンガの後ろに文字で説明されていた。全部マンガ内で説明するのはやはり難しかったのだろう。それでも、マンガと組み合わさって説明されることで、どういう場面で使用されるフレームワークか、などがわかりやすくなっていると思った。

 色々なフレームワークを学べるというだけではなくて、感情的な問題で、提案に反対する人がいる、ということも描かれていた。実際ありそうなシチュエーションだし、こういう場面がマンガによって描かれていることで、理解しやすいように思えた。

 これを読んだから明日からすぐに抜群の事業戦略を作成できるようになるとは思わないが、事業戦略を考える上で、どのようなフレームワーク、心構えが大切か、という点に関しては非常によく学べる本だと思った。初心者がこういった本でイメージを膨らまして、より詳しい説明などがある本に移るための第一歩、という位置付けの本かなと感じた。