おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

並木裕太著「ミッションからはじめよう!」

 面白い本だった。読む前はありきたりなビジネス書かと思っていたけれど、読み進めるとためになるなあと多く感じる本だった。多くのビジネス書でミッションの重要性が挙げられている。ミッションは、会社の立ち位置を示し、方向性を定めるために必要だ。ミッションに基づき、いろいろな判断がなされ、従業員が動くようになる。また、個人の成長を考える際にも、ミッションを考えることが有効だ。自身の理解を深め、どのような方向に進むべきなのかを明らかにするために、個人レベルでもミッションを考えていくことが重要だ。

 しかし、ミッションを実際に作るためにどういう思考プロセスが必要なのか、ということは、あまり詳細に書かれていないビジネス書が多いように思う。いくつか考え方のコツを挙げているようなものは多いが、なんだかふわっとしたものが多い印象だ。また、ミッションというのは、単なる夢や願望とどう違うのか、という点もあまり解説されていない本が多いと思う。本書では、そうした点が非常に明確になっており、読んでいてためになるなと感じることが多かった理由も、そうしたところにあると思う。

 本書で最も重要だと感じたのは、その人や企業がこれまでに行ってきたこと(エビデンス)、それが機能的・感情的な面でどのような効果を発揮してきたか、発揮しうるか(ベネフィット)を考え、その上にようやくミッションが考えられるべき、という部分だ。この点において、ミッションが単なる願望や夢とは異なるものだと著者はいう。エビデンス、ベネフィット、ミッションを考えていく順番は、婆にによっては順不同でも良いともいっているが、少なくとも、そのピラミッド構造を掲げたミッションが有しているとことが重要だという。

 こうしたピラミッド構造を意識することで、他者や他人との差別化や、これまで行なってきたこととの勢いを利用した、その会社、その人なりのミッションの構築を補助できるように感じた。そして、この点は他の本では読んだことがなかったので、非常に新鮮であった。著者は、どんなに良い考えでも実行されなければただのゴミ、という信念のもとに、自身の会社を立ち上げ仕事を行なってきたと述べていたが、そうした背景をもつ著者だからこそ、こうした内容をかけたのだろうか、と思いを馳せながら読み進めることができた。