おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

山崎将志著「残念な人の仕事の習慣」

 当初本書はそこまで期待して手に取っていなかったのだが、読んでみると予想を超えて面白かった。題名になっている「残念な人」というのが、仕事のスキルのない人、とのことかと思っていたが、この本では「残念な人」というのを、「作業一つ一つはそつなくできるが、前提条件が間違っているせいで、イマイチな結果になることが多い人」と捉えていた。

 本書を読むことで、前提条件を把握する、ということがいかに大切かわかるだろう。一生懸命仕事に取り組んでいるのになぜか成果がうまくでない、とか、上司や部下、少し離れた部署の人とのやりとりなどで、うまくいかなかった経験のある人などは、本書を読むと得られるものがあるだろう。

 新書であるため、薄く広くという感じではあるが、本書では、経営の課題を上手に解決した企業の例が前半で紹介されていた。課題の前提条件を真に把握することで、イノベーティブな答えにたどり着けるということが、分かりやすく示されていた。アパホテルになぜ大浴場があるか、餃子の王将でなぜ半額キャンペーンが行われる時があるか、などの解説は、目から鱗でとても楽しく読めた。

 本書には、仕事に対する著者の哲学が貫かれているように思う。「上手に仕事を進めていくことで、よりポジティブな人生に変えられるのにな」という、著者の声が聞こえてくるような本だった。