おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

(株)OJTソリューションズ著「トヨタの段取り」

 トヨタ自動車の改善活動というと非常に有名だ。ただ実のところ、自分は今までそういうところがまとまったものを詳しく読んだことがなかった。なので、こちらの本を手に取った。
 この本ではトヨタの改善活動について、以下のような目次で書き進めている。

1. 仕事の成果は「段取り」で決まる
2. 「7つのムダ」を取り除くことから始める
3. 仕事にかかる「時間」を短縮する
4. 段取りの「質」を上げるコツ
5. 確実に実行するためのコミュニケーション
(本書p18〜p23より抜粋)

 簡潔にまとめられているものの、いずれの章も参考になることが多かった。個人的に面白かったのは、2章の「7つのムダ」を取り除くことから始める、の章だった。ここで述べられている7つのムダは、手持ちのムダ、加工のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、運搬のムダ、つくりすぎのムダ、不良・手直しのムダである。

 こういったことは、改善活動に馴染みのある人には当たり前のことなのかも知れないが、自分のようにそれほど馴染みのない人には参考になるものが多いだろう。お客さんから依頼があったり、注文があったりした時には、なるべく早くそれに応えるのが良いようになんとなく思っていたが、あまりに早く作りすぎるのはムダ、という見方は、言われてみれば当たり前だが、なるほどそういう工夫もあるのかと目から鱗だった。

 また、これも言われてみると、当たり前のことなのだが、自身の仕事の前後には他の人の仕事があるわけで、それを前工程、後工程と呼び、前工程、後工程に対して考え方を変えていくというのもなるほどなと感じた。こういったことは、生産現場に勤めている人にとってはごくごく当たり前のことなのだと思う。そういう意味では、そういった部署・分野以外のところで働いている人が読むと、自分と同じように得るものが多いと感じるのではないだろうか。