おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

黒田真行著「転職に向いている人 転職してはいけない人」

 本書は、かつてリクナビnextの編集長であった著者が、転職がうまくいく人、いかない人、という軸で、転職について語った本だ。

本書の目次は以下の通りだ。

第1章 転職を決断する前に知っておいてほしいこと
第2章 転職に向いている人・向いていない人
第3章 転職を真剣に考える人のためのガイドマップ
第4章 転職先の見つけ方・選び方
第5章 転職活動を成功させる方法
第6章 転職後に成功する人の共通点
(本書p8~p15より抜粋)

 このうち、本書のタイトルにもなっている転職に向いてない人についての章は、第2章で、退職理由などからそういった人について分析している。例えば、なんとなく現在の職場で評価されていないから、新しい職場に転職したい、というようなモチベーションの人を例に挙げている。こういった人は、仮に新しい職場にうつっても、同じような気持ちになる可能性が高いという。それは他者の評価を自己判断の基準にしているからで、そういうような人は、自分自身が変わらない限り、同じようなシチュエーションで同じような不満を持つ可能性が高いという。また、希望職種がピンポイント過ぎたり、年収条件が厳しすぎる人もなかなか転職活動がうまくいかない傾向にあるという。

 色々な部分でふむふむ、と思うところがあったが、特に興味深かったのは、企業の募集条件と応募者の条件がマッチしていても、企業側からみて、応募者がオーバースペックだと採用を見送ることがあるという部分だ。これは例えば、採用を予定している部署で、若い部長を育てようとしているときなどに起こりうることらしい。そういった場合、若い部長の手に余りそうな人が来るのは望まないらしい。また、オーバースペックな人が本当に長く勤めてくれるのだろうか、という不安にもつながる可能性があるそうだ。実際に、こういう状況がどれくらいあるのかは、本書からは分からなかったが、マッチングがうまくいかない理由にそういったこともあるというのは興味深かった。

 転職をどうしても急がないといけない、など差し迫った事情がある人は別として、転職しようかどうか、なんとなく最近悩んでいるような人には、おすすめの本だと思う。