おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

谷藤賢一著「ぺヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力」

 論理的思考、なぜなぜ分析、MECE、プログラミング的思考、フローチャートイノベーション的思考、オズボーンのチェックリストなどの言葉は、企業勤めをしていれば、いくつか(もしくは全て)聞いたことがあると思う。これらの言葉の意味を正しく説明できるだろうか?あるいは、子供にも分かるように説明できるだろうか?もし、できるという人は、本書はあまり役に立たないかもしれない。しかし、そういったことに自信がない人にとっては、本書は一読の価値があるだろう。

 本書では、架空の登場人物3人が、昼食にペヤングソース焼きそばを食べるまでの過程で、話し合いを行い、どのようにしてペヤングソース焼きそばを食べるに至ったのかを読んでいくことになる。その話し合いの過程で垣間みえる、論理的思考、プログラミング的思考、イノベーション的思考にスポットライトをあて、それぞれがどのような考え方なのかを解説していく。こうして書くと、なんだか難解な本のように思えるかもしれないが、実際はむしろ、単純な日常会話の中にも、論理的思考、プログラミング的思考、イノベーション的思考というのが隠れていて、それを意識するようになることが、本書を読むことで出来るようになると思う。

 論理的思考をするというと、誰でも出来ることのように思う人もいるかもしれないが、例えばtwitterをやっていると、必ずしもそうではないことがわかる。全く話が噛み合わない人たちというのも一定数いるのだ。嫌がらせや、あえて誰かを怒らせようとしている場合は別として、これはどちらかが非常に愚かというよりは、前提としていることが共有されていないために、起こってしまうこともあると思う。本書では、こういった噛み合わない議論の原因についても、論理的思考の項で分かりやすく解説されている。

 ぺヤングソースやきそばというと、年齢、性別を超えて万人がよく食べるというよりは、若者がよく食べるものだと思う(根拠はなく、勝手な憶測です。年をとるとカップ焼きそばは、だんだん辛くなってくるのです)。そういう意味で、ぺヤングソースやきそばを題材にしたのは、本書を若者に読んで欲しいという著者の気持ちがあったのだろうかと勝手に想像した。実際、自分もこの本は内容的に非常に易しいので、10代や20代前半の人におすすめしたいなと思った。また、もっと理解を深めたい人のために参考文献などが巻末にあれば、より良い本なのだけどなとも思った。