おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

山田咲道著「ダメ上司論」

 本書のタイトルを見たとき、手に取ってもらいたいからって、ちょっと凝りすぎたタイトルじゃないかなと思った。ただ実際に中身を読んでみると、タイトルほど攻めた感じはせず、良い意味で普通の話だった。本書では、上司の役割を「部下の給料を上げ、部下のキャリアアップをはかること」と定義し、それができない様々な上司の生態を解説していく、という構成になっている。学術的な本というよりは、公認会計士・税理士である著者が様々な会社を見聞きする中で、出会った人を参考に、いろいろなタイプのダメ上司を解説する本になっている。

 前に読んだ山崎将志著「残念な人の仕事の習慣」でも思ったが、ダメ上司、残念な人、などネガティブなワードを定義して、そこから逆に理想を探索するというのは、本を書きやすいんだろうなと感じたし、読んでいても読みやすいなと感じた。こういう書き方をすると、読者の共感を得られやすいなどといった、販売上の戦略もあるのだろうか。

 本書では、まず怒鳴り散らしてしまったり、ある種サボタージュしている明らかなダメ上司を例にあげる。そして最後に、実際に著者が上司として仕事をしているときに、部下に指示が思っていたように通らなかったりした場面もあげ、そこで自分が先に挙げたダメ上司にならないよう、ぐっとこらえて、自分の指示がダメだったのだなと思うようにした、と書いている部分がある。

 この場面を読んで思ったが、ダメ上司は、いつもダメ上司なのではなく、とっさの時にダメ上司に変貌してしまうという側面があるのかなと思った。自分は大丈夫だと思って本書を笑いながら、どこか他人事の話として読んでいるような人でも、とっさのときにダメ上司にならないよう日々気をつけないといけないのかなとも思った。つまり、誰でもダメ上司になりうるという意識で、日々気をつけて仕事をしていくのが大事なのかなと。