おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

佐藤優著「組織の掟」

 読む本を選ぶ時、表紙か背表紙をみて、なんとなく面白そうだと思ったらとりあえず手にとることにしている。それで、パラパラとめくって、まだ面白そうだと思えれば実際に読み進めていく。本書もそういう様子で手にとったのだけど、手にとって佐藤優さんの本であることに気がついた。佐藤さんの紹介はwikipediaに詳しいので、リンクを貼っておく。
 
ja.wikipedia.org


 さて本書では、著者の外交官時代の経験に基づきながら、組織の性質が考察されている。本書は、以下のようなトピックで章立てされている。

第1章 組織の活用術 組織は自分を引き上げてくれる
第2章 組織の従属術 上司には決して逆らうな
第3章 組織の分析術 人材には適した場所がある
第4章 組織の管理術 デキる部下を見極めよ
第5章 組織の防衛術 問題人物からは遠ざかる
第6章 組織の処世術 人間関係はキレイに泳げ
第7章 組織の戦闘術 ヤバイ仕事からうまく逃げろ
第8章 組織の外交術 斜め上の応援団を作れ

 どの章も面白かったが、自分が生活に応用しようと思ったのは、特に最後の章だった。全く新しい考え方というわけではないのだが、今所属している組織の外で助けてくれる人、信頼できる人がたくさんいることが、結局所属する組織内での仕事を円滑にしている、また、所属する組織で仮にダメになってもなんとかなるようになる、というのは、やはり大事なことだよなと再認識した。

 全体を通して、自分は著者の言っていることに関して共感しながら読めた。ただ自分はある程度組織で生活してきた年月があるので、そうなのかなという気もした。そうではない若い人の場合にはどうなんだろうか。本書を通して組織のルールを知識として学ぶことはできるけど、実際に誰かの失敗を目の当たりにしたり、自分が失敗したりした時に、ようやく本書で言われていることが分かるような気もする。もしくは、本書を読んで注意できる賢さのある人なら、本書を読まなくても注意できているような気もする。

 本書の主題である組織のルールについての内容も面白いのだが、どちらかというと、全く馴染みのない外交の世界の様子についての描写の方が面白かった。スパイに向いているか否かの適性試験なども引用されていて、そんなものがあるのかと驚いた。著者が第8章の章末にも書いているように、「カバー」が身を助けるというのは、少なくとも著者の場合、とても当てはまっているんだろうなと思った。