おすすめビジネス書レビュー

仕事への向き合い方が変わる本を紹介します

チップ・ハース & ダン・ハース著(千葉敏夫訳)「スイッチ!「変われない」を変える方法」

 自分自身の生活や習慣を変えるのは、変えたいことによっては困難な場合がある。ましてや、他人や組織の中で何かを変えたいと思っても、なかなかうまくいかなかった経験を持つ人は多いだろう。本書では、主に他者や組織にどう働きかけることが、変化を生み出すために重要かを解説している。
 本書のキーとなる考え方は、象使いと象という考え方だ。我々は、理性的な部分(象使い)と感情で動く部分(象)があり、それぞれに上手く働きかけることが変化を起こしていくために重要だと、本書では説明する。
 象使いに方向を教えるためには、①成功例をみつけて、その成功例が他と何が異なっているのかを明確にすること、②変化を進言する際には抽象的なことではなく、出来るだけ具体的に、やるべき行動を示す必要があること、③ ②の結果、どこにたどり着くことができるのか、を示すことが、重要だと示している。
 一方で、象に動いてもらうためには、①理詰めだけでなく、感情を刺激するような方法で、変化を進言すること、②大きすぎる変化は恐怖を生み出してしまうため、小さな変化から始めることが重要だと示している。
 また変化をより大きくさせたり、変化を継続させていくためには、環境を整えることや、習慣づけること、仲間をつくっていくことが重要だと最後に記している。
 これらのひとつひとつは、当たり前というか、言われてみるとそんなにすごい知識ではないように思うが、こうしたことを体系的にまとめてくれたのは、理解を明確にするという点で有益だったように思う。